総合型地域スポーツクラブとは

総合型地域スポーツクラブとは、地域に住んでいる皆様が主体となって運営するスポーツクラブのことです。複数の種目が用意されていて、子どもから高齢者・障害のある方まで、初心者からトップレベルの競技者まで、それぞれの年齢・興味・関心・技術レベルに応じて活動ができます。
福井県広域スポーツセンターでは、老若男女を問わず、だれでも・いつでも・いつまでも、スポーツに親しむことができるような環境を整えるために、地域に根付いた総合型地域スポーツクラブの育成と定着を支援しています。

メリットは?

  •  それぞれのライフステージに応じた生きがいづくり

  •  健康で活気に満ちた地域づくり

  •  親子や家族・世代間の交流が促進される

  •  家庭・学校・地域が連携した子どもの健全育成になる

  •  家族のふれあいや地域の人々の交流

  •  スポーツ施設の有効利用

  •  専門的な指導・一貫指導

Q&A

総合型地域スポーツクラブを設立する上で、重要なことは何でしょうか。

なぜ、クラブをつくるのか、クラブを作ることによって、地域をどうしたいのかについての理念を共有することが最も重要です。クラブづくりの理念については、例えば青少年の健全育成、世代間の交流、健康・体力づくりなどの中からテーマを選び、地域住民の皆さんが積極的に発信することにより、賛同の輪が広がり、理念のもとに集まった人たちがクラブ設立推進の核となるでしょう。

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総合型地域スポーツクラブを育成していく上では、既存のスポーツ関係者、関係団体との調整が難しいと聞きますが、どうすればよいでしょうか。

地域には、体育協会、スポーツ少年団、種目別のスポーツ団体などの既存のスポーツ団体や、市町村の非常勤職員としてスポーツに関わってきたスポーツ推進委員がいます。
こうした団体等への説明のポイントとしては、

  • 1.キーパーソンとなる人への説明は絶対はずさない。
  • 2.現在の問題点から将来のことを含め、総合型地域スポーツクラブの存在意義をはっきりと伝える。
  • 3.数値で説明できることは数値で説明する。(人口の推移、施設の現状等)
  • 4.準備委員の合意の形成を行い、全員が同じことが言えるようにして理解者を増やしていく。
  • 5.他団体と互いに補完連携できることを探す。

ということが重要です。

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総合型地域スポーツクラブを設立する上では、行政主導からいかに地域住民主導にしていくかが難しいと聞きますが、どうすればよいのでしょうか。

クラブ設立の仕掛けやきっかけづくりは、行政やスポーツ団体であっても、設立されたクラブを運営し、育てていく主体は地域の皆さんです。
これからクラブの立ち上げを計画している市町村の行政担当者の皆さんは、このことを念頭におき、クラブ設立に向けてのキーパーソンとなる人材を発掘し、キーパーソンを中心としたクラブ設立の推進グループを形成していきましょう。
これまでの取組の結果、クラブ設立に向けての推進の核となるグループができつつある市町村の行政担当者の皆さんは、できる限りメンバーの意見を引き出すオブザーバー的な役割にまわり、推進グループの主体的な取組を引き出すように務めましょう。
また、過度に行政に存在せず、主体性を持った設立準備委員会とするために、その事務局は行政組織の外に設置するように促しましょう。

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総合型地域スポーツクラブを育成していく上で、学校の運動部活動との連携をどのようにとったらよいでしょうか。

子どもたちのスポーツ環境を一層充実させるためには、学校の運動部活動とも連携したクラブが望まれています。
クラブの皆さんは、学校の体育施設に活動の拠点を置くために、単に自分達の活動の場を借りるという姿勢ではなく、地域住民である子どもたちのスポーツ環境を良くするという理念で、学校の運動部活動との連携を考えていきましょう。
学校や運動部活動指導者の皆さんも、現在の運動部活動では補いきれない場合もある子どもたちのスポーツニーズに応えるとともに、開かれた学校づくりの一貫として学校体育施設の利用を一層推進するという観点で、クラブとの連携を考えていきましょう。
行政の担当者も、学校教育とスポーツ振興の担当間の情報交換に務め、情報の共有を図りましょう。今後の子どもたちのスポーツ環境をどのように整備していくのかを、子どもたちに関わる様々な人たちが、子どもたちを主役として話し合い、つくりだしていくことが必要です。

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総合型地域スポーツクラブのバリエーションにはどのようなものがありますか。

先行的にクラブつくりに取り組んでいる事例等の中から、そのいくつかを紹介します。

(1)小・中学校を中心とした青少年層を対象に立ち上げた事例
このクラブでは、地域のスポーツ少年団などの単一種目のチームをすべて融合し、さらに中学校の部活動の一部(土日の活動)をクラブの活動に位置付けて小中一貫で連動させています。学校と地域がうまく連携したクラブづくりであり、開かれた学校づくりはクラブの拠点になります。学校側に働きかけるには、市町村教育委員会の学校教育を主管とする課との連携が必要です。

(2)成人を主な対象に立ち上げた事例
地域では、学校開放施設の利用者として多くのサークルが活動していますが、それらで構成する施設ごとの組織を立ち上げ母体にするもので、クラブは利用施設に集うチーム連合的な組織になるわけです。その上でそれぞれのサークル活動を少しずつオープンにしていって、徐々にクラブ化していくものです。

(3)子どもから高齢者まで幅広い年齢層を対象に立ち上げた事例
健康増進を柱に、子どもには体力の向上や運動習慣の定着化を、中・高齢者には生活習慣病の予防や改善のための運動を提供するなど、住民と行政が一体となって、まちぐるみ、村ぐるみで推進していくものです。

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総合型地域スポーツクラブのエリアはどの程度が適当でしょうか。

学校区などの行政区割りは、行政上の効果や効率を考えて設定されていますので、クラブの地域的な範囲を考える参考になるでしょう。
そうするとおおむね1万人から2万人程度の住民を会員の対象としたクラブを想定することになるでしょう。
しかし、単純に学校区などの行政上の区割りを当てはめるのではなく、あくまで拠点となる施設を中心として、会員が徒歩や自転車で無理なく通える範囲を考えることが大切です。範囲が狭すぎると会員の対象人口が少なく、会費収入を中心とした恒例的な自主運営が難しくなることが考えられますが、逆に範囲を広くしすぎると、会員の対象人口は多くなり、一人あたりの会費が廉価に押さえられ、徴収が楽になる反面、日常的に会員が交流することが難しくなり、活動内容もプログラムの提供に終始してしまうおそれがあります。
文部科学省のスポーツ振興基本計画では、将来的には中学校区程度の地域での総合型地域スポーツクラブの定着を最終目標に掲げていますが、地域の実情に応じ、永続的に、かつ会員が帰属意識を持てるようなクラブのエリアを検討しましょう。

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会員に受益者負担の意識を醸成するためには、どうすればよいでしょうか。

我が国のスポーツの発展経緯から、スポーツサービスは無料又は廉価で行政から提供されるものという意識を持っている人が多いのも事実です。
ですから、クラブが会員である地域住民の会費により自主的に維持、運営されるものであるという基本認識が足りないようです。 クラブ設立期から会員は単なる参加者ではなく、自ら所属するクラブを運営する一員であるという意識を持ってもらうこと。つまり、会員はサービスの享受者であると同時に、提供者でもあるということを自覚してもらう必要があります。
そのためには、会員が自らクラブの運営に参加しているという意識を醸成していく必要があります。
クラブ全体がどのように運営され、自分たちが支払った会費がどのような事業に活かされるのか、また、クラブの将来計画やそのための資金計画はどうなっているのか等、財務状況を分かりやすく説明し、理解してもらいましょう。
現状の公共料金の相場観から、設立期に経費と無関係に低すぎる会費を設定してしまうことは、かえって永続的なクラブ運営に支障を来たすおそれがあります。
クラブの運営に見合った収入が得られるように計画し、その中心となる会費について適切な金額を設定しましょう。

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最後に総合型地域スポーツクラブづくりのポイントを教えてください。

(1)より多くの地域住民の賛同と協力を得ること
クラブの目的は、多くの地域住民が一生涯を通してスポーツやレクリエーションを「楽しみ」「生きがい」活動として行える環境を提供し、心身ともに健康な地域住民を増やし、活力ある明るく住みよいまちづくりを進めることにあります。
このため子育て支援や高齢者の生きがいづくり、安心できるまちづくりなど、地域の様々な活動と一体となることが大切です。

(2)中核となって動く「人材」が必要
クラブの必要性を理解し、情熱と行動力を持ち、地域の関係者や組織を説得しながら、連携協力を図れる「人材」が不可欠です。
次に、ボランティア精神でクラブの立ち上げとその後の運営に一緒に汗を流しながら進めてくれる人材も必要です。
そのためにもクラブの目的をしっかり提示して進めることがポイントです。そして、目的を共有する中から、会員のニーズや能力等に合わせて指導ができる人材も生まれてきます。

(3)地域のいろいろな組織間の連携と協力体制が重要
クラブを進める組織として、体育協会、体育指導委員協議会、レクリエーション協会、各種スポーツ団体などがあります。
しかし、地域住民のニーズに応えるクラブをつくるためには、各組織・団体の特性を生かした連携・協力と効果的な役割分担を図りながら展開することが必要です。

(4)小さく生んで、大きく育てること
クラブのイメージを最初から多くの地域住民に理解してもらうことは大変難しいことです。
まずは、住民が地域の課題として興味を持ち、スポーツがその課題解決に役立つことが解りやすく、実践しやすい小さな活動や事業を行ってみることをすすめます。
例えば、放課後や休日の子どもの居場所が問題になっている。
そこで、土・日に小学校のグラウンドで子どもたちにいろいろな遊びやスポーツを体験させるコーナーを定期的に実施してみる。子どもたちが喜んでいる姿を見て保護者(大人)も一緒に参加するようになる。そこから多種目・多世代が一緒に楽しめるクラブを創ってみることを考える。
といった、小さな活動を通しながら徐々に理解者を増やし、クラブに近づけていくといった手段を取ってみるのも一つのポイントです。

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